年末に第九というのは,神州不滅の我國固有の習俗である.
並居る第九の音盤のなかでも,ダントツにというか世界遺産級の価値を持つ演奏がフルトヴェングラーによる演奏,とりわけ1951年のバイロイト音楽祭再会の杮落としとして演奏されたものだ.
当初録音を担当したEMIの名ディレクター,ウォルター・レッグは,カラヤンの演奏を録音するついでに撮っておいたらしい.
「ついで」の録音が,その後半世紀以上第九(とフルトヴェングラー)の真価を伝えることになるとは皮肉な話でもある.
この年末,なぜか,まったく唐突にこの日の演奏の別音源がCD化され,発売された.
この演奏のCDをめぐる話といえば,これまでは,状態のよい音盤を探してリマスタリングするのが常であった.
ところが,バイエルン放送局の収録していたテープが発見され,紆余曲折を経てORFEOからの発売に至ったらしい.
ORFEO盤とEMI盤を比べた結果は,当初ライヴ盤として誰も疑わなかったEMI盤がどうやらリハーサルでの演奏を収録したものらしいことである.
これは正直たまげた.
今頃こんなメガトン級の衝撃をともなうテープが見つかるなんて意外なことだ.
年末の残りはこいつとじっくり過ごすとするか.
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