2010年2月16日火曜日

デ・ワールトの薔薇の騎士とその他諸々

14日はNHK-FMでエド・デ・ワールトが今年の1月9日にメトロポリタン・オペラを指揮した薔薇の騎士が放送された.
ヴァレンタインにあわせた組み合わせだとしたら,粋な計らいだ.
先週のギーレンのときのように災害もなくつつがなく終了した.

デ・ワールトはオランダ留学中,Radio Filharmonisch Orkestの常任だったので,よく聴いた.
その後2001年だったかに訪ねた香港で,香港のオーケストラが彼を常任に招くというポスターを見て,いい人選だと思っていた.
日本ではデュトワからアシュケナージと,訳の分からぬバトンタッチがあったので,力量のある指揮者を見抜く見識が日本にはないのかと,ほとほとガッカリした記憶がある.

デ・ワールトは昨年ようやくN響の定期に出演したのだが,その職人気質の堅実な演奏に好印象を抱いた人も多かったようだ(無論,その逆もあるわけだが).
FMで放送された演奏会の解説者などは,名誉客演指揮者などの冠をあげて,定期的に演奏してもらうことを提案していたが,個人的にはまったく同感である.

さて,メトを振った薔薇の騎士だが,この曲の隠れた名盤を録音している指揮者だけあって,演奏の質は高かった.
元帥婦人をルネ・フレミングというのは,正直やや気品の点で足りないものを感じるのだが,現役の歌手の中では,フェリシティ・ロットに次いでベストの選択だろう.
ゾフィーをクリスティーネ・シェーファーというのが,個人的には以外だったが,総じて歌手陣,特に女性歌手陣は合格点だったのではないだろうか.

なにはともあれ,このオペラにはあまりにも多くの思い出がついてまわるので,なんとも言いがたい感情がこみ上げてくる.

その他,ここ数日に聴いた演奏では,N響の定期演奏会でのビシュコフのマーラー5番に注目していたのだが,演奏の鍵となるトランペットが最初から最後まで不安定でダメだった.

少し前に聴いたエッシェンバッハがウィーンフィルを振ったときの演奏もトランペットが派手に音をはずしていたのでN響をあまり責めては酷なのかもしれないが,元来音を外すことが多い曲と分かっていれば当然事前の準備も入念にするはずなのに,やはりダメだったなぁ.

あとは,チョン・ミュンフンが東京フィルハーモニーを振ったブラームスの3番と4番も14日に放送されたので聴いてみた.
ちょっと濃い目のブラームスで,枯淡の境地という演奏からは遠く,チョン・ミュンフンまだまだエネルギッシュですな.

ブラームスは40代に1番と2番を書いて,50代で3番と4番を書いたと解説の吉松隆が言っていた.
いい話だ.
自分も40代と50代でそれぞれ大きな仕事を二つしてみようと密かに誓った次第.

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