2009年2月27日金曜日

最近見た映画

ポロック
2000年アメリカ

監督:エド・ハリス
主演:エド・ハリス,マーシャ・ゲイ・ハーデン他

アメリカを代表するモダン・アーティストであるジャクソン・ポロックの伝記的映画.
ジャクソン・ポロックの作品は,加藤さんの講義でたびたび耳にしたり加藤さんの書いた文章を読んだ後に実際に接した.

ポロックは,ドリッピングの技法を確立し,アメリカ初の世界的モダンアーティストとして評価されながら,交通事故で若くしてなくなっている.
映画は,その生涯を支えた妻/画家,家族や知り合いの芸術家,美術批評家とのかかわりから,ポロックの作品が生まれ,評価され,落ち目になっていく過程をたどっている.

加藤さんの講義では,抽象表現主義(abstract expressionism)の代表的芸術家としてたびたび言及されていた.
また,その文章では,ポロックのドリッピングの技法が解剖学的な制約を免れることができず,したがって晩年に行き詰まったのはある意味で自然であり,彼の交通事故は事故であるとともに自殺に等しいと述べていた.

映画では,ポロックの事故はあくまでもアル中のポロックによる飲酒運転が原因として描かれてはいるが,理解の仕方によっては加藤説を裏書するものともとれる.

ヨーロッパの圧倒的影響の下にアメリカの芸術界はスタートした.
だが,そのヨーロッパに対して,独自の個性を持つ芸術家が生まれだしたのがポロックの生きた時代であり,絵画においてはまさしくポロックがその初めの人物として評価されたのだ.

音楽では,バーンスタインがいたことを映画を見ながら連想せずにはいられなかった.
ただ,絵画と音楽との違いは,画家は複製をしていては評価されないのに対して,音楽家の使命は再現にあるという大きな違いだ.

とはいえ,絵画と音楽という違いはあるにしても,ポロックもバーンスタインも型破りという点では一致する.
これもアメリカという土地で新たな芸術を生み出すうえで必然的な要素であったのだろう.

加藤さんがこの映画を見ていたら,どんな話をしたのか,そのことも脳裏に浮かべながら映画を見ていた.

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