座席についてはあまり期待していなかったのだが,当日券でも割と良い席が残っていて,幸い購入することができた.
当日券を販売していた係の方が招聘を企画した人のようで,思ったよりも良い席が残っていることから少ししゃべりこんだ.
3年ほど前にオピッツが福岡でリサイタルを開いたときは,テンペストやら悲愴,月光に熱情などの中期の代表的なソナタをまとめて演奏したらしく,招聘を企画した人曰く,今回はその時に演奏できなかったワルトシュタインを弾いてもらいたい,という強い意志が実現した結果らしい.
ところが,ふたを開ければ売れ残りの多いリサイタルになってしまったらしく,福岡の聴衆についてあれこれとボヤくことしきりだった.
東京でのリサイタルはシューベルトで構成していたようだが,これも客の入は芳しくなかったようだ.
肝心のリサイタルは,田園,18番,告別,ワルトシュタインといった曲で構成されていて,こちらとしてはとても満足のいくプログラムだった.
とりわけ,小ぶりでかわいい曲調の18番や田園といった曲でののびやかで晴朗な印象は,急遽リサイタルに出かけてよかったと思わせるものだった.
リサイタルの目玉となるワルトシュタイン.
この曲は,ギレリスやポリーニの一部の隙もない演奏が好きで,頻繁に聴いている.
今回リサイタルで聴いたオピッツのワルトシュタインは,そこまでかっちりとした堅固な構築物として再現するという演奏ではなかった.
しかし,2楽章の歌わせ方など,適度な感情表現にあふれ,印象のよい演奏だった.
そういえば,かつてオピッツがNHKの番組で一躍有名になったのは,もう10年以上前になるのだろうな.
個人的には,彼の演奏でぜひとも最後の三つのソナタを聴いてみたいものだ.
送信者 日々是好日 |
会場で販売していたCDを購入した人にはオピッツのサインがもらえるようで,リサイタル終了後,楽屋入り口に列を作っていた.
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